最近、私はラジオ番組に出演した。司会者はファイナンシャル・プランナーで、私とドナルド・トランプの共著書「Why We Want You To Be Rich(あなたに金持ちになってほしい理由)」を快く思っていなかった。ドナルドと私がこの本の中で投資信託のことをよく言っていないからだ。
司会者は、私の話を聞くよりも反論することに熱心だった。彼の意見は、ドナルドと私は投資信託の専門家ではないのだから、投資信託を批判する権利はないというものだった。私は、自分たちが投資信託の専門家でないことを認め、ドナルドも私も専門家であるとは一度も言っていないと指摘した。
放送された口論
私たちが著書の中で引用したのは、投資信託業界の真のエキスパートにしてリーダーであるジョン・C・ボーグルの言葉だった。彼の名前は前にも挙げたことがあるが、知らない人のために説明すると、彼は一連のファンドを世に出したバンガード社の創設者だ。
だが司会者のファイナンシャル・プランナーは、ドナルドと私は専門家ではないが、ジョン・ボーグルは専門家なのだという私の言葉を受け入れようとせず、身構えるように「ジョン・ボーグルは投資信託が大好きです」と言った。
そのとおりだと認めてから、私はこう言った。「ボーグルは確かに投資信託が大好きで、だからこそ腹を立てています。投資家が、投資信託のファンド・マネージャーに食い物にされているからです」
放送中の論争はさらに5分ほど続いた。私は司会者に、ボーグルの著書「The Battle for the Soul of Capitalism(資本主義魂のための戦い)」は読んだことがあるかと聞いた。彼は読んでいないと言い、今後も読むつもりはないと答えた。私がボーグルの本を誤って解釈し、文脈を離れて彼の言葉を利用している、というのが司会者の言い分だった。
投資信託についてのボーグルの考え
「人間の頭はパラシュートのようなものだ。開いたときだけ機能する」という言葉がある。ラジオ番組の司会者の頭は閉じてしまい、私も同じ状態だったので、インタビューを予定より早く終わりにしてほしいと頼んだ。リスナーが見ることができず、司会者が読む予定もない本について議論するのはやめて、私の言い分を、「Yahoo!ファイナンス」の読者の皆さんに明らかにすることにしょう。
ジョン・ボーグルが著書「The Battle for the Soul of Capitalism(資本主義魂のための戦い)」で言っているのは、基本的に次のようなことだ。「大企業や投資信託の真の所有者」と彼が呼ぶ「投資家」は、企業や投資信託会社の管理者たちに金を巻き上げられている。これを彼は「所有者の資本主義から管理者の資本主義への移行」だと形容している。
エンロンやワールドコムなどの大企業に投資した人々(「真の所有者」)が、ケン・レイやジェフ・スキリング、バーニー・エバーズのような連中に金をだまし取られたのは有名な話だ。ボーグルの主張によれば、彼らと同じような泥棒が投資信託業界にもいる。しかも彼は、数少ない腐ったリンゴの話をしているのではない。業界全体を名指ししているのだ。
ボーグルの言葉を引用しよう。「端的に言えば、ファンド・マネージャーたちは、金融市場から得られるリターンの不当に大きな割合を横領している」この点について彼はさらに、「最近の株式の利回りは1.8パーセント程度だったが、典型的なエクイティ・ファンドの経費比率は、ファンドの利益の80パーセントを食っている」と述べている。
あの日のラジオ番組で私は言った。80パーセントというのは、ちょっと欲張りすぎなのではないかと。
集金マシンのしくみ
ボーグルは具体例を挙げて説明している。「[1985年に]株式市場に投資した1万ドルは[20年の間に]10万9800ドルの利益を上げたが、平均的な投資信託の投資家の利益は、わずか2万9700ドルだった。ただ株を買って持っていた場合の利益の73パーセントが、コストペナルティ、タイミングペナルティ、セレクションペナルティによって食われてしまい、平均的なファンド投資家には全体の27パーセントしか残らない」
つまり、1985年に投資家が株式市場に1万ドルを投資していれば、その後の20年間で10万9800ドルの利益を得ることができた。これは市場の変動を折り込んだ数字だ。同時期、同じ1万ドルを投資信託に入れた投資家は、2万9700ドルの利益しか得られなかった。
この情報をもとに私はラジオの司会者に、「だから投資信託は最低だと言っているのです。配当の80パーセントを吸い上げてしまうだけでなく、その他の利益の73パーセントも投資家から奪っている例もあるからです」と言った。
私のこのコメントはきっとビープ音で消されたと思う。
「買い手注意」
「The Battle for the Soul of Capitalism(資本主義魂のための戦い)」を読めば、ボーグルがこの本を書いた動機がわかってくる。ラジオの司会者が言ったとおり、ジョン・ボーグルは投資信託が大好きだ。あのファイナンシャル・プランナーもボーグルの本を読んでいれば、だからこそボーグルが不満を抱いていることを理解できただろう。
投資信託はすばらしくよく考えられた投資商品で、消極的な投資家に長期的な富をもたらすように設計されている。しかし悲しいことに、時間がたつうちに、ファンド・マネージャーが、子どもの学費や自分の老後の暮らしのために投資を頼りにしている投資家から、合法的、非合法的に金を巻き上げるようになった。投資信託のファンド・マネージャーたちは、大企業の管理者同様、手っ取り早く儲けるために悪魔に魂を売り、投資家たちを見捨ててしまったように思える。
ファンド・マネージャーのガバナンスの強化を求めるボーグルの意見に私も賛同する。このような搾取が続けば、起業家やビジネスのための資金を投資家から集めることは困難になるだろう。アメリカの投資家の多くは、すでに国内より海外に投資するようになっている。
しかし、資本市場のリーダーたちが規制を強化し、ファンド・マネージャーたちがその資本主義魂を取り戻すかどうかはともかく、「買い物をする者は用心を心掛けよ」という時代を超えた投資の知恵は有効だろう。結局は、あなたのお金なのだから、何に投資するか、誰に投資を任せるかには細心の注意を払ったほうがいい。