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ロバート・キヨサキ 金持ちがますます金持ちになる理由 
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2009年6月30日 (不定期更新)

第64回 「安物買い」では金持ちになれない理由

 先日、友人の一人が訪ねてきて、興奮ぎみにこう言った。
「夢のようにすばらしい家を見つけたわ。抵当流れになっている物件で、銀行が格安で売ってくれるというのよ」

 「どれくらい安くしてくれるの?」と私は聞いた。

 「不動産市場が暴落する直前の売り主の言い値は78万ドルだったの。でも銀行は、今なら21万5000ドルでいいって言うの。どう思う?」彼女はそう聞き返した。

 私はこう答えた。「僕にわかるわけがないじゃないか。物件の価格しか聞いていないんだから」

 彼女は嬉しそうに叫んだ。「ああ、私たちにも、やっとあの家が買えるんだわ」

 私は彼女に言った。「ただ値段が安いからといって買うのでは、安物買いになる場合がある。安いからといって、値段に見合った価値があるとはかぎらないんだ」

 そして、お金に関するもっとも基本的な原則のひとつについて説明した。それは、「価値のあるものを買う」ということだ。私は、価格ではなく価値に対して支払う。価格が気に入らなければ、買わないまでだ。それでも売りたいという売り主は、価格を引き下げてくる。私は、いくらまで値引く気があるのかを売り主に聞く。値切るのが大好きという人がいるが、私はそうではない。売りたいと思っている人は売ろうとする……それだけのことだ。買いたいと思っている物に本当に価値があるなら、私はその対価を支払う。価格に対してではなく、価値に対してお金を支払っているから、私は金持ちになっている。

 さっきの友人は、私の忠告にも耳を貸さず、「夢のおうち」のために住宅ローンを組もうとしていた。

 銀行が彼女にお金を貸さなかったのは幸いだった。その物件は、人通りの多い通りに建っていて、周辺の治安は悪くなるいっぽうだった。その家から4ブロック先のところにハイスクールがあったが、そこはこの町でいちばん危険な学校になっていた。彼女の息子と娘は、もっと安全な私立学校に行くか、さもなければ空手でも習わなければならなくなっていただろう。彼女はいま、自分にも買えるもっと安い家を探していて、すでに引退している父親に、頭金の支払いを手伝ってもらおうとしている。これまでの彼女の行動が、これからの彼女の未来を映す鏡だとしたら、この友人はこれからも「安物買い」を続けるだろうし、貧乏なままだろう。高い教育を受けていて、よく働くとても良い人なのだが……。


私が診断したところ……

ロバート・キヨサキ 彼女は一生、経済的に成功しそうにないし、とくに不動産投資では難しそうだ。それにはいくつかの理由がある。

1. 彼女とその夫は、大学は出ているが、お金に関する教育はまったく受けていない。さらに悪いことに、これからも投資のセミナーに行く気は全然ない。2人は、お金に関する教育を受けないことにしているので、史上最高の強気市場も弱気市場もすべて見逃している。金持ち父さんはよくこう言っていた。「知るべきことを知っていないと、きみはいつまでも貧乏なままだ」まさにそのとおりだ。

2. 彼女は感情的になりすぎる。お金と投資の世界では、自分の感情をコントロールすることを学ばなければならない。ちょっと考えてみればわかることだが、人生には、お金に関して重大な決断をしなければならないときがある。そのうちの3つは、結婚、マイホームの購入、子供を持つことだ。そしてそれらの決断は、感情がもっとも高ぶっているときに下すことになる。

 私の実の父はよくこう言っていた。「感情が高ぶると、知性は低くなる」金持ちになるには、自分の下した決断が、短期的・長期的に良い結果を生むものかどうかを見極める必要がある。それが「言うは易く行うは難し」なのは明らかだが、これが富を築く秘訣なのだ。

3. 彼女は、金持ちがくれるアドバイスと、セールスマンがくれるアドバイスを見分けられない。ほとんどの人は物売りからアドバイスをもらう。彼らは、あなたが損をしても儲ける人々だ。ファイナンシャル教育が非常に重要なのは、その教育を受けることによって、良いアドバイスと悪いアドバイスを見分けられるようになるからだ。

 いま起こっている金融危機でも明らかになっているが、学校ではお金の使い方についてほとんど何も教えてくれない。「学校に行き、仕事に就いて一生懸命働き、お金を貯め、マイホームを買い、借金を返し、よく分散された投資信託に長期投資しなさい」という伝統的な教えに従がっているせいで、恐怖におののきながら暮らしている人が大勢いる。このお金に関する処方箋に従っている人の多くは、夜もおちおち寝ていられない。彼らには新しいプランが必要だ。彼らがファイナンシャル教育をほんのちょっとでも受けていたら、こんな混乱には巻き込まれずにすんでいたかもしれない。


ジョン・スチュワートよ、ありがとう

 「金融の専門家」ということについて言えば、私個人としては、巷で人気の風刺ニュース番組「ザ・デイリー・ショー」の司会をしている、コメディアンのジョン・スチュワートに感謝の意を表したい。彼は、投資家でテレビ番組の司会者でもあるジム・クレーマーと、ニュース専門放送局CNBCを、自分の番組のなかで徹底的にこきおろした。ジョン・スチュワートは、市場の大暴落で貯えを失くしてしまった世界中の何百万人もの人々を、見事に代弁していた。「トレーダーたちが市場の時間内・時間外取引によって我々の退職金を盗むことができるのを重々知っていながら、年金プランに加入して長期投資をしなさいと人々にアドバイスするのは『不誠実なこと』だと思う」という彼の発言は、まったく正しい。ジム・クレーマーのような投資家のほとんどは、投資信託に長期投資するのは経済的な自殺も同然だと知っている。クレーマーははっきりそう言うべきだったが、CNBCは彼に真実を言わせない。その理由は誰もが知っている。彼が本当のことを言えば、テレビ局のスポンサーがいなくなってしまうからだ。

 ジム・クレーマーが「ザ・デイリー・ショー」に出演して、自分の言動の結果を潔く認めたことを、私は大いに評価しているが、その一方で、この出演によって、彼が、ジョン・スチュワートに過小評価され、ひどく痛めつけられ、信用を失う結果になったのではないかと心配している。証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出すようなことになれば、彼はさらに大きな代償を払わされるかもしれない。

 ジム・クレーマーはとても頭の切れる男だ。私も彼の番組を見ている。だが、彼のアドバイスには従わない。

 最後にもうひとつ言わせてほしい。私がもう何年も言い続けていることだ。学校でファイナンシャル教育をすべきだ。この教育がなければ、良いアドバイスと悪いアドバイスを見分けることができないからだ。


ロバート・キヨサキについてさらに知りたい方はこちらをご覧ください(外部サイト)
ロバート・キヨサキの本コラム‘Why the Rich Get Richer(金持ちがますます金持ちになる理由)’は米国Yahoo! Financeに掲載するために執筆されたものです(2009年4月7日)。
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